ビートルズ国内デビュー曲の謎⑩

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「64年の突然変異」とは、
真に究極のキャッチ・コピーではないでしょうか。


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裏面のカレンダー


  ここに国内デビュー直後東芝が配布したビートルズの販促物があります。これは前回のブログで紹介させていただいた村岡さんがお持ちだったもので、ちょうどレコード店に就職したばかりの頃お店のカウンター・ケースの上に大量に置かれていたとのことです。シブヤ楽器店はメーカーとの直接取引だった関係で、当時この手の販促物がいろいろと届いていたと言われています。裏面に“「ビートルズ!」絶賛発売中!”の宣伝文句があったり、シングル盤リストが「ツイスト・アンド・シャウト」まで掲載されていることから、これが4月中旬~下旬にかけて配布されたものであることが分かります。そして表に書かれたシングル盤リストは、「抱きしめたい」→「プリーズ~」の順列になっています。さらに大村本でも、読売新聞4月11日夕刊の東芝広告に同等の順列が確認出来ました。64年4月の段階で、東芝は既にこの順列を示していたということです。これらは、東芝が「抱きしめたい」をデビュー曲として認識していたことの有力な証拠と言えるのではないでしょうか。

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読売新聞4月11日夕刊の東芝広告



高橋克彦さんはこう反論されます。
「菅田さんが根拠として挙げている東芝の認定はすべて3月以降に出されたものですよね。とすれば並べ順はそのときの売り上げ状況によって定めたものかも知れず、 (中略) たとえば当時のレコジャケの背面にしばしば記載される東芝のヒットレコード紹介で、歌手別の並べ順など見るとクリフリチャードはレコード番号の前後など無視して売れている順に記載されていたりします。売る側としては一押しを先頭に持ってきたいのは当然のことで、ボケツトカレンダーの並べ順で「抱きしめたい」が早い発売と断じるのは根拠として弱いのではないでしょうか。それよりは一番大切な商品であるはずの「抱きしめたい」のジャケットに「プリーズ」が第一弾と(*一貫して)はっきり断じている方が重要と私は思います。」 *菅田追記




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東芝月報64年5月号に掲載された広告

さすがに説得力あります。しかしながらレコード会社が示した当時の記録を戸籍として捉えるなら、私にとって何より決定的だったのが、「東芝月報5月号」に掲載されていた“売り切れ近いビートルズのデビュー盤 ●抱きしめたい”のちっちゃな広告でした。「誰が何と言おうと、当時東芝が示しているのだから「抱きしめたい」がデビュー曲なのだ」と信じていました(以前ちらっとブログでも「抱きしめたい」派であると書きましたが)。ですから大村さんから初めて“2月5日「プリーズ~」・10日「抱きしめたい」発売”の新聞記事のことを聞いた時も、「新聞編集者がレコード番号から勝手に判断して、東芝からの告知を間違って逆にして記事にしたのだろう」と漠然と考えていました(東芝の二重構造に気づくまでは)。しかしながらここまで検証を重ねてゆくと、実態は「プリーズ~」が早く出回っていたことは分かるし、当時の新聞記事の発売日に俄然リアリティーを感じるのも確かです。ただし現段階ではその発売日を証明するレコード会社の資料等は発見されておらず、現況は“「抱きしめたい」2月5日・「プリーズ~」3月5日発売”のままであるという如何ともしがたい現実。


高橋さんの意見はこうです。
「「プリーズプリーズミー」を第一弾と記して、しかも「好評発売中」と刷り込んであるからには、「抱きしめたい」の発売は最速でも同時発売と見なすのが正解ではないでしょうか。たとえわずか5日程度「抱きしめたい」が早かったとしても、店頭にその「プリーズ」がなければ大騒ぎとなったはずです。東芝にも問い合わせが殺到したことでしょう。そういう不手際がファンのだれ1人にも記憶がないなど考えられません。注目度が高かったビートルズのことですから、マスコミもその不手際を指摘したに違いありません。私の見解は2月5日か10日の同時発売説です。

また「抱きしめたい」をデビュー盤と(*月報に)明記しているのも、仮に同時発売であったとすればまんざら嘘にはならないわけで、東芝自体もビートルズ旋風に巻き込まれて混乱状態にあったと思われます。しかし、ここまで(*発売日の特定が)錯綜すればどちらがどちらでも構わないような気がしてきました。続けざまに二枚が発売された、でいいような。」 *菅田追記


“店頭にその「プリーズ」がなければ大騒ぎとなったはず”という推測こそは、「プリーズ~」の3月5日発売が絶対あり得ないことを証明する最大の着眼点ではないでしょうか。また「続けざまの同時発売」という考え方は、“モヤモヤとしたビートルズ国内デビュー盤の現状”に対するモラルある解釈とすら感じてしまいます。「どちらにもデビューを認めてあげよう」「軍配は~、引き分け!」とても言わんばかりの。(実際のところ、初期ビートルズに同時発売は多い)






音工7041ハガキ
Nさんに届いた東芝からの回答ハガキ

  ビートルズ来日50周年の今年、「ビートルズと日本」が出版された意義はとてつもなく大きい気がします。この本を紹介することによって、ビートルズ国内盤の発売日問題が日本経済新聞やヤフー・ニュースでも取り上げられることになりました。日経の記事でも触れられていたデビューLPの発売日に対する回答ハガキ(筆跡は高嶋氏?)。こういったものを表に引き出してくれるメディアの力。来日50周年をきっかけとして盛り上がったビートルズ日本研究。今後もこの気運を絶やすことなく継続し、回答ハガキのような貴重資料を発掘して行きたいものです。たとえ今が仮に47年前の曖昧なソースを元にしたデビュー曲定説となっていても、レコード会社の認識一つで定説が変更して行くのなら、今後の意識変革に期待するのもありでしょう。そういう土台は、来日50周年をきっかけに出来上がったと感じています。
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thisboy1994


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