ビートルズ音源上陸はアメリカより日本が先だった!?

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2年前に発売された8枚組CD『ビートルズとトニー・シェリダン/シングル・ボックス』<UICY-5100~8> 
このセットに日本盤ディスコグラフィーが掲載されずライナーにも発売月しか書かれてないのは、
決して手抜きではなく解説者である犬伏功氏の良心だと解釈してます。考えすぎかもしれませんが、
その判断は大正解です。月報でハッキリ明記されてる定説の間違いだけでも4~5枚ありますから。
セットに収録された「スイート・ジョージア・ブラウン」音源集は嬉しかった。
大好きです!トニー・シェリダンのボーカル(そっちかよ)



 先日プレスマークの発見者でもある柳生高志さんから、ビートルズの日本盤における初音源となる「マイ・ボニー・ツイスト」<DP-1264>の発売日を決定づけるグラモフォン月報(1962年5月号)の画像が送られて来ました。これによって、これまで一般的に定説とされていた“1962年5月1日”のインガム説がくつがえされ、“1962年4月20日”が真説としてほぼ確定されました。この検証ブログ(一瞬「懸賞ブログ」と誤って変換しそうになり、ユニバーサルから発売日確定の賞金100万円を贈られる光景が頭をよぎる(笑))、スタートしたのが「ビートルズ日本盤音源デビュー50周年記念日(仮)」とした2012年5月1日のことでした。実に3年の歳月が経過したわけです。(しぶとい!)


 前回の検証⑤(2012年7月10日)で、最後に以下のように結んでいます。

“現物を持ち合わせていないため確認には至っていませんが、「マイ・ボニー・ツイスト」はおそらく62年5月号の月報に記載されていると思います。「マイ・ボニー・ツイスト」が臨発であったなら月報に発売日の記述があると思われ、それですべて“問題解決”ということです。ただ臨発でなければ月報にも発売日の記述はなく、それに代わる確たる資料が出て来ない限り「62年5月1日?」とクエスチョン・マーク付きで表記せざるをえないということになるのでしょう。いずれにせよ香月本出版から33年にして、やっとグラモフォン盤発売日の真偽が問題提示されるということです。”

この締めの言葉を読み返せば、今回の月報確認に至った3年という歳月が意外と短く感じられるから不思議です。






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ジスボーイをオープンする前の「かんだレコード・リストNO.10(海外アーティスト編)」で
表紙を飾った「マイ・ボニー・ツイスト」<DP-1254>



 これまでの経緯振り返ってみますね。5月1日のブログをイントロとして、
検証①(5月19日)では定説であるインガム説の影に隠れていた「ビートルズ・アーリー・デイズ」の椎名説(4月21日)を紹介。

検証②(6月3日)で以下3点のポイントを整理しています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●1963年度版の「グラモフォン番号別総目録」には“62年5月”とのみ記載(64年度版では廃盤)
●初めて発表されたインガム本(ピーター・インガム著「ザ・ビートルズ日本盤ディスコグラフィ」1986年、シンコー・ミュージック刊)には“62年5月1日”と記載
●9枚組シングル・セット「ビートルズ・アーリー・デイズ」(1986年、ビートルズ・レコード・クラブ発行)に封入された椎名まさし氏の解説には“62年4月21日”と記載
要するにレコード会社の目録には発売日が書かれておらず、記載された2件の発売日は食い違い、共にソースが不明ということなのです。
                         (検証②より抜粋)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
併せてグラモフォンの年鑑目録には、昭和40年代ですら発売日が基本的に明記されていないことも指摘しています。

検証③(6月6日)では、おおまかな発売基準日を月報から推測しています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(グラモフォン)         ( 東芝 )
? ~64年 1日・20日    ? ~65年 10日・20日
65~69年 5日・15日    66~67年  5日・15日
                   68~69年  1日・10日
70~  ? 1日・10日    70~72年  5日・25日
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
併せて香月氏の「グラモフォン1日・21日基準発売日説」に疑問を投げかけています。

検証④(6月17日)では、当時の月報に記載されている発売日から判断し、「香月氏が新譜基準日の“20日”を単純に“21日と間違って振り分けたのでは」と推測。21日説をそのまま引用した椎名説の信憑性を疑問視し、インガム氏が“5月1日”とした根拠の究明をはかるべく旧日本ポピュラー音楽学会会長でインガム本の監修者でもある三井徹氏に連絡を取っています。

検証⑤(7月10日)では、三井氏を介したピーター・インガム氏からの回答を紹介。結局、5月1日とした明確な根拠は見つかりませんでした。







katsuki_20150623102312244.jpg → ingham (1)  ingham (2)
グラモ盤1日と21日             5月1日               4月21日   

“5月1日”“4月21日”の両説に対する、現段階での私なりの認識はこうです。
「両説が同じ86年9月に発表されていることから判断してソースは共に香月本(79年)しか思い当たらず、グラモフォン年間総目録記載の“62年5月”の解釈が、香月本記載のグラモフォン盤発売日(1日・21日)から引用したインガム氏(1日)と椎名氏(21日)で分かれた。」
いかがでしょう?






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グラモフォン月報1962年5月号

 さて本題の柳生さんからのメールですが、非常に的確な内容なのでそのまま紹介します。

「漸くグラモフォンの月報62年5月号を入手しました。DP-1254は「今月の45回転」というページに掲載されていますが、案の定日付は明記されていません。が、特に明記されていないということは、「普通に62年5月新譜」なのだということを意味すると思います。(臨発とか特殊発売日ではなく、月遅れ掲載でもない、レギュラー新譜)


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この月のシングルの一押しは「鍛冶屋のルンバ」(ウーゴー・ブランコ)だったようで、15行に及ぶコメントが書かれています。一方「マイ・ボニー・ツイスト」は最後尾という位置づけで、コメントも「ヨーロッパのツイストの決定盤です。」で終わり。「まぁ、出してみるか」といった感じがありありと窺え、
あわてて臨発で出すようなものとは考えていなかったと思われます。


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このレコードが「マイ・ボニー・ツイスト」だったら
5月1日確定だったのに・・。



同月の他ページや周辺月の様子を見ると、当時の発売日は20日がメインらしく、
1日や10日というのもチラホラ(臨発中心で、この場合日付が明記されている)
という感じです。21日というのはありません。

以上整理すると、
4月20日の可能性が大
5月1日の可能性は少しあり
4月21日はまずなさそう
ということになるかと思います。」





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     発売日確認ソース5点公開                *発売日には諸説あり

 5月号の月報には、「マイ・ボニー・ツイスト」は“今月の45回転”として新譜欄に掲載されていたため当然のことながら“4月20日発売”は明記されてはいなかったものの、他ページに“5月1日臨発”表記のレコードも掲載されていることから4月20日発売は間違いないでしょう。当時の新聞その他の具体的資料が出て來ない限り100%断定するものではありませんが、日本デビューLP『ビートルズ!』の“64年4月15日”発売を裏付ける具体的記述5点(東芝月報、東京新聞、電波新聞、ポップス、平凡パンチ)を発表したレココレ(2014年2月号)の記事をしても「*発売日には諸説あり」の一言で片づけられている現状を思えば、仮に裏付け資料が出て来てもその先にある無念さのようなものを想像してしまうのですが、まずはこれで十分としましょう(諦観)。別にエラそうなことを言うつもりは毛頭ありませんが、「ビートルズ・レコーディング・セッション」におけるマーク・ルーイソン氏の緻密アプローチからすれば、62~4年におけるビートルズ日本盤発売日に対する国内認識は非常にお粗末な実態と言えるでしょう。(やっぱりエラっそう?)


 今回の資料を基にウィキペディアも発売日修正しておきましたので、反論のある方よろしくお願いします。また再発盤「マイ・ボニー」<DP-1351>が「マイ・ボニー・ツイスト」と同一音源と書かれてあったので、併せてこれも修正しておきました。「マイ・ボニー・ツイスト」のイントロはドイツ語イントロで、「マイ・ボニー」は英語イントロです。ついでながら再発盤の発売日も「64年4月21日」を「4月20日」に修正(リソース:グラモフォン月報1964年5月号)しておきました。Wiki修正によってNHKがサザンの特別番組で“4月15日発売”の真説を採用するというようなことが起こりましたので、まんざら意味がないことでもないと考えています。








ep_20150622213405bae.jpg      decca_20150622224353906.jpg
“Mister Twist”EP<France Polydor 21914>   My Bonnie / The Saints<US Decca31382>


 いろいろと長々と書いて来ましたが、結局は「ヒマ人の真実ゲーム」なのかもしれません。でもビートルズの歴史ですから、これはちょっと譲れません。万が一「4月20日発売」を100%確証するものが発見されれば、同じ62年4月発売のフランスEP盤やアメリカ盤シングル「My Bonnie」(4月23日発売が有力)より早く発売された可能性も出てきます。それは、ドイツ語イントロ音源が本国ドイツ盤に次いで初めて他国で発売されたのが日本ということになり、さらにはアメリカより先に日本でビートルズ音源が発売されたことを意味します。凄いことです。今後も“4月20日記述資料発掘の旅”続けます。(楽しい)







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1962年4月「ファンクラブ・ナイト」(キャヴァン)のステージ

 最後に三井徹氏からいただいたメール紹介しておきます(ちょっとインパクトあります)。

「(マイ・ボニー)は(ユー・アー・マイ・サンシャイン)と並んで、1950年代末から1960年代初めにかけて、自分がバンド活動のときに歌っていた記憶があり、となると、地球のこちらでシェリダンと関心を共有していたことになります。1962年にはバンド活動から離れて久しかったと思い出しつつ、62年4月からしばらくの日記を取り出しましたが、やはり(マイ・ボニー)への言及はありませんでした。そこで当時のライターはと思案すると、 (中略)  福田一郎さんはまめな方の印象があります。(寄贈された金沢工業大学のポピュラー・ミュージック・ライブラリーに)1962年日本盤(マイ・ボニー)の見本盤が届いた日が、メモされているかもしれませんね。」



(追記)7月2日
USA盤Decca31382の発売日としてWikiに記述されてる「1962年4月11日」は、
「OFFICIAL PRICE GUIDE TO THE BEATLES RECORDS AND MEMORABILIA SECOND EDITION by Perry Cox(1999)」
の「Scheduled release date 4-11-62」(予定発売日?)から引用されてる可能性が大で、定説の4月23日が正しいと思われます。
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