日本デビュー・アルバム「ビートルズ!」の発売日

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「ザ・ビートルズ・マテリアルVol.1」(和久井光司著、ミュージック・マガジン)

   久々にビートルズ日本盤の全容を掲載したコアな本が出ると知ったのは、ほんの数か月前のこと。和久井氏の前著「ビートルズ&アップル・マテリアル」(92年、新版02年、改訂版05年)に手を加え、今回はいよいよ帯の領域に突入です。各日本盤のコメントも「あと追い第1世代」と名乗る自らの回想やリアルタイマーに対する推測が興味深く書かれており、リアルタイマーの人間からみてもなかなか読み応えがありました。これまで多くの著作がありレココレ誌上でも長年に渡って含蓄のある分析を継続されている和久井氏ですが、今回の日本盤データ記述に関しては、それなりに詳細に書かれてはいるものの、残念ながら帯については私と随分異なる認識をお持ちであるという印象を受けました。

日本盤の発売日については、定説となっているグラモフォン盤のデータにも間違いが見つかっており、確かに手を出したら収拾がつかなくなるのは分かります。ただ真実の究明に向けて、せめて巻末にでも一言「発売日に関しては他の説もある」くらいのコメントは入れて欲しかったと思います。でもそれだけだったらあえてこのブログに採り上げることもなかったでしょう。やはり一番問題なのは、現物画像も掲載せずにコレクターがぶっ飛ぶような重要な未確認アイテムの存在をさらっと断定していることです。「ビートルズ!」(P33)と「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」(P48)に半円帯、さらには「No.5」(P62)・「4人はアイドル」(P69)・「ラバー・ソウル」(P77)にV字帯が存在するなんて書いてありますが、万が一そんなものが出てきたら日本盤コレクターにとってのインパクトは「マイ・ボニー・ツイスト」どころではありませんよ。「存在の可能性があるもの」と「存在しているもの」とを明確に示さないといけません。ただの研究者ではなくコレクターでもあるのなら、書籍に記載する新アイテムの現物確認は徹底していただきたかったと思います。

和久井氏とは直接の面識はありませんが、交流のあるミュージシャンが出演するというので顔を出した何年か前のライヴでディランのカヴァー(だったかな?)を歌う姿を拝見したことはあります。人望も厚く交友関係も広そうで、ビートルズ研究家としてのこれまでの実績からかなりの影響力がある方だけに、よけい今回の日本盤に対する意識の軽さが目につきついつい苦言を呈してしまいました。ビートルズへの深い愛情も感じられ、全体的にはビートルズのレコードというものをうまく総括した書籍で意義あるものだけに、日本盤データに関してのツメの甘さが非常に残念です(デビュー50周年に出版を間に合わすべく焦られたのかも)。






  先々月、シングル図鑑の協力者でもあるAさんから「ポップス」64年4月号の情報をいただきました。「プレスリーを蹴おとしたイギリス青年」(鈴木道子)という記事に、「ビートルズ!」<OR-7041>の発売日が書いてあると。

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「シー・ラヴズ・ユー」も4月15日発売(予定)となっていますが、このシングルは初回PMがC4(64年3月プレス)であることから5日発売の可能性はあります(東芝総目録には、「ビートルズ!」と同じく「64年4月臨発」とのみ記載)。

どうでしょう?「ポップス」4月号は4月1日発行のようですので、3月の段階で4月15日発売は予定されていたのですね。ということで、日本デビューLP「ビートルズ!」の発売日に関してこれまでの情報を整理してみると、

① 東芝月報64年5月号に「4月中旬発売決定」と告知
② 東芝月報64年7月号に「4月中旬に発売された」と記載
③ 初回プレスマーク(PM)はD4で、仮に4月1日にプレスしたとしても5日の発売は困難(当時のプレスから発売までのインターバルは半月が限度)
64年4月28日の東京新聞に「十五日に発売された」と記載
4月5日発売説」の起源は香月氏が香月本(香月利一編・著「ビートルズ・ディスコグラフィー」立風書房、79年)で東芝総目録の“64年4月臨発”を“臨発=5日”と判断したもの
⑥ 不明な発売日に関しては、インガム本(ピーター・インガム著、三井徹監修「ザ・ビートルズ日本盤ディスコグラフィ」シンコー・ミュージック、86年)は香月本のデータを継承(三井徹氏を通じてインガム氏に確認済み
⑦ 「ポップス」64年4月号に「四月十五日発売」と告知

と列挙できます。

それでもあなたは4月5日発売を信じますか?

たかが発売日と思われるでしょうが、21世紀にもなってビートルズのデビュー・アルバムの発売日を公式にレコード会社が示せないのは、欧米では考えにくいのではないでしょうか。ましてビートルズ研究大国の日本において。





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   ここ10年は書籍やブログでビートルズの日本盤について私なりに調べて来たつもりですが、こと発売日に関しては、洋楽ライターの意識は四半世紀前からあまり変わっていないという実態が見えてきました。現在各誌で採り上げられてる「デビュー・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』50周年」に関する記事では、やたら本国での発売日“63年3月22日”の活字を目にします。来年の今頃はきっと、ネット上でのコピペの嵐に加え「日本デビュー・アルバム『ビートルズ!』50周年」で各誌が盛り上がり、“64年4月5日”の活字が飛び交うことでしょう。2013年の段階で、影響力のある労作「マテリアルVol.1」(4月5日説継承)が発売されたことは非常に痛い。








  先日、大村さんから国会図書館で入手した新たなダメ押しデータが届きました。電波新聞64年4月28日の記事です。

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「シー・ラブズ・ユー」は4月5日発売(結果)だったようですね。


彼こそが真の香月フォロワーですよ。過去の労作に固執することなく、真実解明のためには四半世紀後の問い合わせ依頼に対しても協力を惜しまない三井徹氏やインガム氏の姿勢こそが真のビートルズ研究家と言えるんじゃあないでしょうか。









(追記)
その後「ビートルズ!」<OR-7041>のPMが「C4」と表記されたブログ見つけました。初回は「D4」と認識していたのですが・・。初回PMを見分けるポイントは、最古でかつ確認した数が多いことです。私は「C4」は見たことありません。「G4」が薄くなって「C4」と見える可能性はあると思います。いずれにせよ、「③初回プレスマーク」の項目を除外しても大勢に影響はないでしょう。

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