リバプール・サウンドの命名者④

 “リバプール・サウンド”の記述がある最古のLPを「リヴァプールの若者たち」<OR-7069>(64年8月発売)とほぼ断定し(異論のある方はご教示下さい)、このあたりで新聞紙上に目を向けてみましょう。レココレのマジカルTV放映記事や「クロスビート」のレヴュー等ですっかり有名になったOさんこと大村亨さんからは、かなり以前に「リバプール・サウンド」記述に関する詳細な新聞データをいただいていました。大村さんが手がけている「新聞記事のビートルズ 1963~70(仮題)」の抽出データは、真に絶句レベルのものです。日本におけるビートルズ事象アーカイブに向けてのその徹底したリサーチを、多くの香月フォロワーは見習うべきです。彼の長年に渡る国会図書館でのデータ抽出作業は、かつての黒沢進さんを連想させます。




japanese rock
黒沢進著/「日本の'60年代ロックのすべて」(ビート史料刊行会、1989年)
圧巻!感涙の力作。電話した時の、「ああ、どうもどうも」という明朗かつ
ちょっぴりシャイなトーンが今でも忘れられません。


 日本の60年代ポップス研究の礎を築いた黒沢進さんの著作に説得力があるのは、その根底にしっかりしたデータ蓄積があるからだと思います。かつては一笑に付されていたカヴァー・ポップスやGSの音盤データを国会図書館に通って徹底的に調べ上げ体系化した功績は、日本ポップス史研究の金字塔と断言出来ます。彼とは長年に渡ってGSの発掘音源やレコード情報を交換し合った仲ですが、カヴァーポップスのオリジナル音源を調査すべく、その対象は時に洋楽の日本盤にも向けられていました。来年で50周年を迎えるビートルズの日本盤に関しても、彼のように徹底したデータ抽出に基づいた研究をする音楽ライターがそろそろ出てきてもいいような気がします。レココレの記事を見ても分かるように、日本の洋楽ライターによるビートルズ研究はかなりのレベルだと思います。ただ洋楽ということで、日本では得てしてその研究対象が本国の事象であったり、レコードについてもオリジナル盤重視だったという歴史があります。近年続々と出版されるビートルズ関連本の日本盤に関する記述にしても、自ら労せずの安易な転載が目立ちます。既存データの真偽や新発見ネタを、自分の足で動いて原資料と照合したりリアルに現物確認しているとはとても思えない。新事実の存在を知りながらも真実に蓋をしたり、架空のものをさも存在してるかのように断定してる。それってカッコ悪い。当時ショックを受けたリアルタイマーの感覚からして全然ビートルズっぽくない(すみません。ビートルズ専門研究家でも何でもないただの中古屋のオヤジがグチってます)。





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大村さんの「リバプール・サウンド」記述抜粋データ

 大村さんの報告によると、抽出された11項目のほとんどが64~5年のもので、その内容はラジオ欄の番組案内(「リバプール・サウンド特集」等)が大半。他には65年7月に「ポップ・ギア」の映画紹介が日刊スポーツとスポーツニッポンの2紙でなされ、そのコメントでリバプール・サウンドという言葉が引用されている程度です。記事といえるものでは、64年9月20日の毎日新聞に「芸能コンサイス」という芸能界のキーワードを説明するコラムで唯一「リバプール・サウンド」と題されているものが確認されているだけです。そして新聞紙上で確認される最古の記述は、64年8月11日の読売新聞朝刊のラジオ番組紹介欄にあったようです。


beatles vs elvis presley beatles vs elvis presley2
64年8月11日の読売新聞

文化放送「ビートルズかプレスリーか」電話リクエスト第2部(午後9:00)
“きょうは「ビートルズかプレスリーか」この両者へのリクエストをつのる。
クリフ・リチャーズ、それから今夜のビートルズ、さらにベーブ・クラークハイプ、シャドーズなど、いわゆるリバプール・サウンドのイギリス・グループはいまやアメリカの本場をひっかきまわしているが、その影響が、日本に現われたのはことしのこと。プレスリー主演の映画が、ことしになって「アカプルコの海」「ラスベガス万才」と上演され、さらに近く「いとこにキッス」が封切られる。一方、ビートルズの映画「ヤア・ヤア・ヤア」(邦名ビートルズがやってくる)が上映中でビートルズ人気はいまがピーク。従って、この両者に対するリクエストの結果は、大いに興味がわく。”

●どんな音楽奏でるのか興味の尽きないベーブ・クラークハイプさん
●シャドーズまでもがリバプール・サウンド
●映画「ヤア・ヤア・ヤア」(邦名ビートルズがやってくる)??
●ビートルズ人気はいまがピーク←当時の一般的見解を露呈

いやはや新聞芸能記事ならではの即効性や大衆性を感じさせる、何ともツッコミどころ満載の番組紹介ではあります。


以上の通り今回の新聞紙上調査(大村さんからの情報受け売りってカッコ悪い?)では、最古の記述はLPと同じ64年8月で進展なしでした。次回はシングル盤における記述を調べてみます。








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黒沢進さんから情報もらった弘田三枝子レコード・デビュー直後(直前?)の映画「めぐり逢う日まで」(松竹、1961年)でのワン・シーン。歌うは「マイ・メランコリー・ベイビー」(オリジナル!)。

レコード・コレクターではなかった(自分でそう言われてました)黒沢さんには、チェファーズやハプニングス・フォーの自主盤音源、ストロベリー・パスやモップスのライヴ音源など、数々の音源を提供しました。とにかく少年のように喜ぶ声が聞きたかったんですね。そしてもう一人の少年探偵団員である大村さんには、今回のベーブ・クラークハイプで喚起され、「大村亨の選んだ勘違いアーティスト名ベスト10」のセレクションを提案中です。ジョン・レモンは有名ですが、大村さんによると、ジャッキーとデシャノンなんてのもあるとか。

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